テクノポートの卜部です。東京オリンピックの延期や新型コロナウィルス感染症の影響で開催の見通しが立たない展示会に替わる手段として、Webサイトの活用やオンラインセミナーなどが挙げられますが、一つの案として広報活動の一つである「プレスリリースの配信」を提案したいと思います。
そもそも広報って何?広告と何が違うの?という方はこちら
この記事の目次
プレスリリースとは?
プレスリリースとは、企業からマスメディア(テレビ、新聞、Webメディアなど)への情報提供のことをいい、過去の情報ではなく新しい情報を公にする時に用います。マスメディアにニュースとして取り上げてもらいたいときに作成、送付を行うことが多いです。
特徴
自社の新しい情報と言う点では、Webサイトに掲載する新着情報と変わらないように感じるかもしれませんが、 “Webサイトの情報”にユーザーが辿り着くには「検索」が欠かせません。
一方、プレスリリースは自社での発信に留まらず、
- メディアでの記事化
- メディアへの転載
- SNSでのシェア
などが可能です。情報の拡散性が高く、自社のことを知らない人に対しても情報を届けることができます。
メリット
- 無料で情報発信ができる
- 情報の拡散性が高く、自社を認知していない人にも情報を届けることができる
- 配信サービスを使うことで一定の転載枠によるパブリシティが得られる
デメリット
- 作成したからと言って確実にメディアに掲載されるわけではない
- メディアの視点で情報が編集されるため、思い通りの記事になるわけではない
プレスリリースの内容
プレスリリースに書くことなんてない、と思ってしまうかもしれませんが、プレスリリースを読んだことはあるでしょうか。
代表的な内容としては下記のようなものが挙げられます。
- 新しい情報
新製品の発売、新サービスの開始、イベントの開催、新規事業立ち上げなど - 自社でとったデータの発表
顧客アンケート、事例の公開 - ○周年
最近、製造業からでは、フェイスシールドやパーテーション、マスクの製作・販売や、オンラインセミナーの開催などがプレスリリースとして配信されていました。
書き方
決まった形はないとも言われていますが、基本的な形をご紹介します。こちらは弊社が業務提携に際して配信したプレスリリースです。
構成
①冒頭
レターヘッドはほぼ定型なので下記の4点を入れます。
- プレスリリース:報道資料であることを明示する
- 報道各位:誰宛の文書化を明確にする
- 発表日:配信日を記載
- 社名:発信者を明示する
会社ロゴがあればヘッダーに差し込みます。
②見出し
目安としては30文字前後で、前半に読みたくなるような言葉や表現を使用するのがコツです。直接プレスリリースをメディア関係者に渡すような場合を除いては、数千枚のプレスリリースの中から読もうと思ってもらえるかどうかを決めるのが見出しに当たります。特に、配信代行を使ってメールなどで届く場合には見出しがメールの件名になるため、受信トレイで見切れない見出しの前半に重要な言葉をおきましょう。
③リード(前文)
プレスリリースの概要をまとめて記載します。5W1Hを押さえて、簡潔にわかりやすく表現しましょう。ここまでで、プレスリリースで配信する情報に価値があると感じさせられないと、ここから先は読んでもらえないと言っても過言ではありません。
リードの頭は、「製造業が抱えるあらゆる経営課題の解決に挑むテクノポート株式会社(本社:東京都江東区 代表取締役:徳山正康 、以下テクノポート)は、」のように、事業の概要、社名(本社:市区町村まで 代表者)で書き始めるのが一般的です。
④本文
本文には、
- そのサービスや製品、企画に至った背景
- サービスや製品の概要
- 参考となるデータ、情報
などを書きます。項目立てて書いていくと読みやすくなります。
⑤会社概要
会社名、代表者、設立日、資本金 、所在地、Webサイトなどを記載します。その他、会社のビジョンやミッション、事業内容などを記載することもあります。
⑥連絡先
製品やサービスについての問い合わせ先、取材等のメディア関係者の問い合わせ先をそれぞれ記載します。(画像ではサービス問い合わせ先のみ)電話番号、メールアドレス、担当者を明記します。
コツ
簡潔且つ分かりやすく書く
せっかく見てもらえるなら、と1から100までありとあらゆる情報を詰め込みたくなりますが、すっきりと簡潔に書くように心がけます。全体の量としては長くてもA4用紙3枚までを目安にすると良いと思います。また、公に発表するという側面があるので、誰にでもわかるよう表現します。社内で通じる造語や略語も第三者には伝わりません。中学生が読んでもわかるようなイメージです。
ビジュアルで攻める
数多あるプレスリリースの山から、目を惹くプレスリリースを作るには画像が欠かせません。私自身、プレスリリースを作成するときに困るのは自社サービスを視覚的に表現することです。製造業は、ビジュアルで魅せることができる業種なので、ぜひ力を入れてみてください。製品の写真だけでなく、現場の写真や、加工をしている手元など魅力的な写真がたくさん撮れるはずです。
テーマは一つに絞る
複数のネタがある時に、せっかくだから…とまとめて詰め込んではいけません。何を伝えたいプレスリリースなのかがわからなくなってしまいます。
盛らない
アピールをしたいあまり、「業界No1」「業界初」「かつてない」など強調をした文章を使いたくなってしまいますが、根拠のないことを書くと信用を失います。主観ではなく、客観的にみて正確な事実であることが必要です。また、広告ではないので売り込むような表現も控えます。
真似る
色々書きましたが、いざ書いてみようと思うと筆が進まないという方が多いのではないかと思います。私自身、プレスリリースを書くたびにA4用紙をどう編集したら良いものか途方に暮れることも多いです。そんな時は、「プレスリリースの書き方」を調べてはいけません。プレスリリースを調べます。例えば、フェイスシールドの販売をはじめる場合、「プレスリリース フェイスシールド 販売」と検索をします。実際に配信されたプレスリリースが見られるので、具体的なイメージが掴めます。
ちなみにこの方法はネタ探しにも有効です。「板金 プレスリリース」と検索すれば板金に関連したプレスリリースがたくさん出てきます。
配信方法
直接送る
ファックスやメール、持ち込みなど、直接編集部や記者の方に届けます。過去に取材を受けたことがあれば、名刺を探して連絡をとって情報提供をすると良いでしょう。メディアによってプレスリリースなどの情報提供の受け方が異なり、Web上で検索して申込フォームから送る、あるいは電話をかけて確認する、FAX、郵送などがあります。会社宛や編集部宛よりも、担当の部署や担当者宛に送ると目に留まる確率が高くなります。代表電話で断られてしまうこともあるので、マスコミ電話帳などで直通の連絡先を入手するという手段もあります。
配信先は、そのプレスリリースの内容やどの媒体に掲載したいかによっても異なりますが、新聞であれば、経済紙(日本経済新聞や日刊工業新聞他)一般紙(産経新聞、朝日新聞、読売新聞他)、雑誌であれば、ビジネス誌(週刊東洋経済やPRESIDENT他)、業界誌(設備と管理、日経ものづくり他)その他業界新聞やWebメディアなど中心です。地元紙などは比較的掲載されやすいかと思います。
配信代行
配信代行サービスを利用して連絡先を知らないメディアにプレスリリースを配信してもらうこともできます。複数のメディアに一斉配信ができたり、配信代行サービスのSNSに掲載されてより拡散性が高まったりします。配信代行サービスのサイトで情報を探すメディアの方もいますが、一斉配信した情報であるため情報価値が低いと考える方もいるようです。
1配信30000円〜
業界最大手。上場企業の約4割が利用しており、月間5200万PV。大手から業界紙、専門誌まで数多くのメディアと提携しており、配信先リストを自分で作成することができる。メディア関係者だけでなく、一般ユーザーの閲覧も増加してきている。
1配信30000円〜
プレスリリースの添削や掲載メディアのレポートなども料金に含まれている。業界で唯一FAX送信も料金内に含まれている。
プレスリリースに合わせて配信先を選定してもらえる。
無料提携メディアや配信先についての情報が明かされていないため、どのメディアにアプローチをしたのかがわからない。
プレスリリースを作成して、送ったからといって必ず記事化されたり取材されたりするわけではありません。とはいえ、今まで情報が届かなかった相手に対して、アプローチをかけられるというだけでもメリットが得られるのではないでしょうか。
とはいえ、せっかく取り組むのであれば成果を出したいと思いますよね。戦略的に取材を獲得するために欠かせないメディアのニーズの探し方や、媒体の研究についてはまた次回以降にご紹介します。