こんにちは、テクノポートの五月女です。製造業など技術系の企業にとって、複雑な技術や製品の魅力を短時間でわかりやすく伝える動画は、今やマーケティングに不可欠な手法となっています。
この記事の目次
BtoB動画マーケティングの重要性
BtoB製造業で動画マーケティングを活用する意義は非常に大きいといえます。弊社が従業員1,000名以上の製造業102社を対象に実施した調査では、73.6%が「動画による新規顧客開拓で成果が出ている」と回答しました。
動画は、実際の装置の動きや測定データを映像として伝えられるため、専門用語が多い技術的な内容であっても、視覚的・直感的に理解してもらいやすい点が特長です。製造業では、実験紹介や研究成果の発信、展示会のPRなど、活用シーンが年々広がっており、自社の技術力や強みを効果的に訴求する手段として注目されています。
「製造業の動画マーケティングに関する実態調査」をダウンロードする→
研究動画・技術動画とは?
技術系マーケティングにおいて重要なのは、「高度な専門性をいかにわかりやすく伝えるか」です。その手段として注目されているのが、研究動画および技術動画です。本記事では、それぞれを以下のように定義します。
- 研究動画:
研究動画とは、研究開発の様子や実験プロセス、研究成果を映像として伝えるコンテンツです。論文やレポート、静止画だけでは伝わりにくい技術や検証の過程を可視化できる点が特長です。また、研究者の取り組む姿勢や現場の空気感までも映像で伝えられるため、視聴者に対して「この企業は最先端の研究に真剣に取り組んでいる」という信頼感や先進性を訴求する効果があります。 - 技術動画:
技術動画とは、製品や加工技術の仕組み・特長を、実写映像やアニメーションを用いてわかりやすく解説する動画です。切削加工やエッチング加工などの加工風景を撮影することで、精度の高さや技術的なこだわりを視覚的に伝えることができます。さらに、加工プロセスをアニメーションで補足したり、製品の使用デモを実写で紹介したりすることで、自社の技術的優位性を直感的に理解してもらえる点が大きなメリットです。
BtoB技術・研究動画の活用事例
ここからは、研究・技術動画をマーケティングに活かしている最新の事例をカテゴリ別に紹介します。大学や研究機関から大手メーカーまで、合計14社の動画活用例をピックアップしました。それぞれの動画のポイントも簡潔に解説します。
研究動画
研究所や大学など、研究開発そのものをアピールする動画事例です。高度な研究内容を一般にも伝える工夫がされています。
東京大学先端科学技術研究センター
東京大学先端科学技術研究センターでは、「研究動画ライブラリ」を通じて最先端研究を動画で継続的に発信しています。研究者本人が研究内容や社会的意義を語るインタビュー形式と、図解・実験映像を組み合わせることで、専門外の視聴者にも理解しやすい形で研究成果を伝えています。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)
産総研は公式YouTubeチャンネル「産総研チャンネル」を通じて、社会課題の解決や産業競争力強化につながる研究成果を動画で発信しています。研究紹介に加え、研究者の日常に迫る企画やライブ配信など多彩なコンテンツを展開し、最先端研究を身近で親しみやすい形で伝えています。
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
JAXAでは、商業デブリ除去実証(CRD2)を題材にしたイメージ動画「大型スペースデブリ除去への挑戦」を公開しています。研究者インタビューとアニメーションを組み合わせ、技術の仕組みと開発ストーリーをわかりやすく発信することで、JAXAブランドの信頼性向上や協業機会の創出に寄与しています。
理化学研究所
理化学研究所は公式YouTube「理研チャンネル」を通じて、研究成果の解説動画や研究者インタビューを発信しています。プレスリリースと連動した解説動画では、研究内容を図解や研究室紹介、研究者の言葉で補足することで、専門性の高い成果をわかりやすく伝え、理研ブランドの信頼性向上につなげています。
技術動画(ソリューション・製品紹介系)
THK株式会社
THKは、自社の技術やサービスを動画で積極的に発信しています。製造業向けIoTサービス「OMNIedge」の紹介動画では、サービスの仕組みや導入メリットを約3分の短尺動画で要点を絞って解説し、複雑なソリューションでも短時間で理解できる構成としています。
また、自社工場の内部を紹介する動画や、YouTuberとコラボした工場見学企画なども展開し、技術力とものづくりの現場を親しみやすく伝えています。
大日本印刷株式会社
大日本印刷(DNP)は、スイッチ1つで遮光と透過を切り替えられる「電子シェード」技術を紹介する動画を公開しています。活用シーンや基盤技術をわかりやすく解説し、次世代自動車の車内空間をイメージさせる内容になっており、DNPの先進技術力と未来志向の取り組みを効果的に訴求しています。
株式会社日立製作所
日立製作所は、先進的な製造現場の取り組みやソリューションを動画で積極的に発信しています。工場自動化ソリューション「AsterSync」の紹介映像では、人手不足や多品種生産といった製造業の課題に対し、協調制御技術によって生産ライン全体を最適化する様子を、ストーリー性をもって描いています。
技術動画(半導体・電子部品分野)
Rapidus株式会社
Rapidusでは、機能が異なる複数のチップを一つのパッケージに統合して大規模システムを実現する「チップレットパッケージ技術」を紹介する動画を公開しています。2 nm世代ロジック半導体の実用化に向けた研究開発ロードマップや取り組みをわかりやすく解説し、Rapidusブランドの先進性と信頼性を国内外に示す内容となっています。
東京エレクトロン株式会社
東京エレクトロンは、研究責任者による技術解説・講演動画を活用し、半導体技術の最新動向を業界関係者に向けて発信しています。講演動画をWeb記事と組み合わせることで、文章だけでは伝わりにくい技術的背景やニュアンスを映像で補完し、技術的リーダーシップの確立につなげています。

株式会社タムロン
タムロンは、高出力レーザー用光学技術を紹介する動画を公開しています。BtoC向け交換レンズで培った光学設計・加工ノウハウを応用した技術発信をしています。

技術動画(素材・化学・エネルギー系)
日本製鉄株式会社
鉄の作り方や用途などの基礎や最新技術を紹介する動画コンテンツを継続発信しています。最近では人気YouTuberとコラボした工場見学動画も作成しており、専門技術を社外向けに噛み砕いて伝えることで、自社技術への理解促進とブランド価値向上につながっています。
東レ株式会社
素材メーカーの東レは、高機能素材「KUDOS」を題材に、素材の特性や技術的原理を動画でわかりやすく解説しています。撥水性を示す実験映像や、「なぜ水を弾くのか」といった仕組みをビジュアルで説明することで、文章では伝えにくい素材性能を直感的に理解できるコンテンツとしています。
大陽日酸株式会社
大陽日酸では、空気分離装置を用いて窒素・酸素・アルゴンを製造しており、その実際の稼働現場を動画で紹介しています。空気を液化・分離するプロセスを工場の実映像とともに解説することで、ガス製造の仕組みを直感的に理解できる内容となっています。
技術動画(解説動画)
テクノポート株式会社
テクノポート株式会社は、自社キャラクター「テクパルコ」を起用し、製造業の技術をわかりやすく紹介する動画シリーズを制作しています。親しみやすいキャラクターを活用することで、専門的な内容を視聴者に直感的に伝え、難解な技術テーマでも理解を促進しています。
製造業企業が研究・技術動画を作る意味
研究開発型の製造業企業が、自社の研究動画や技術動画を制作・公開することには、多岐にわたるメリットがあります。
展示会の訴求力アップ
展示会や学会では、静止画やパンフレットだけでは伝えにくいダイナミックな動作や加工プロセスを動画で示すことで、来場者の視線を引き付け、足を止めさせることができます。イベント後に同じ動画をウェブサイトやSNSで公開すれば、来場できなかった潜在顧客にもリーチでき、展示会を起点とした継続的なリード獲得に結び付きます。
営業活動を効率化する
「百聞は一見に如かず」。デモ動画をタブレットで見せるだけで、口頭説明に比べて製品理解が格段に深まります。フォローメールに動画リンクを添えれば、営業担当者が繰り返し説明しなくても顧客自身が情報を補完でき、受注確度が向上します。
リードナーチャリングを加速する
BtoB取引では契約までの検討期間が長くなりがちです。だからこそ、技術解説シリーズやウェビナーを定期配信し、見込み顧客が継続的に価値ある情報に触れられる環境をつくることで、ロイヤルティを高められます。さらに、失注顧客に対しても、メールマーケティングに動画を組み合わせてフォローすれば、課題が生じたタイミングで再度問い合わせを得られる可能性が高まります。
技術ブランディングを確立する
製品そのものではなく、独自の「技術」や「プロセス」を動画で可視化し続けることで、「〇〇技術と言えば○○社」という認知を市場に浸透させられます。技術を名指しで採用要望されるようになれば、価格競争に巻き込まれにくくなり、付加価値の高いビジネスを維持できます。
技術・研究動画を成功させるには?
技術者を巻き込む
動画制作では、企画段階から社内エンジニアや研究者を参画させることが不可欠です。現場の視点を取り入れることで、技術の本質と訴求ポイントが明確になり、一般論に終始した内容や的外れな表現を防げます。出演者として登場すれば説得力が高まり、監修や情報提供だけでも専門性と正確性を担保できます。
顧客目線と専門知識のバランス
技術動画の視聴者は必ずしも専門家ばかりではありません。専門用語を多用せず噛み砕いた説明を心がける一方、根拠データや事例を示し内容の厚みを保つ必要があります。たとえばレーザー加工を初めて見る視聴者には原理から説明し、専門用語にはテロップで簡潔な解説を添えると理解が深まります。さらに「高速化」「安全性向上」「コスト削減」といった具体的なメリットを提示すれば、専門外の視聴者も自分ごととして価値を感じられます。
技術者・研究者の露出を増やす
社内の技術者や研究者を前面に出す演出は、リアリティと信頼性を高める有効な手段です。専門家が自らの言葉で技術を語る様子は、非専門家にも「プロが本気で取り組んでいる」という印象を与え、技術理解を深めます。研究者が実験装置の前で成果を語る場面や、ベテラン技術者が強みを熱く語るインタビューは、それだけで企業への親近感と信用を醸成します。技術者の露出は社内の士気向上や採用力強化にも寄与し、動画で注目を集めた技術者が社内のロールモデルとなる効果も期待できます。
動画を作る流れ
研究・技術動画づくりは、①企画・構成、②撮影・素材制作、③編集・仕上げという三つの段階を踏むのが一般的です。
企画・構成
研究・技術動画の目的(例:新技術の紹介、展示会向け PR)とターゲット視聴者を定め、訴求ポイントとキーメッセージを整理します。技術者と協議して情報を提示する最適な順序を決定し、シナリオと絵コンテに落とし込みます。絵コンテがあると、撮影と編集の指針がぶれません。
撮影・素材制作
企画に沿って研究所や工場での実験風景、装置稼働シーン、製品デモ、技術者インタビューを撮影します。同時に CG アニメーションや模式図、グラフなどのビジュアル素材を準備し、照明・音声を整えた高品質な映像を確保します。撮影には技術者が立ち会い、要点が的確に映っているかを確認すると安心です。
編集・仕上げ
絵コンテに従って素材を並べ、不要部分をカットし、シーン間を調整します。タイトル・テロップ・図表・BGM・効果音を挿入し、専門用語には注釈を付けて視認性とわかりやすさを高めます。ナレーションを挿入後、社内試写で技術的な誤りや難解表現をチェックし、フィードバックを反映して完成させます。最後に高解像度で書き出し、YouTube などにアップロードすれば公開準備完了です。
まとめ
製造業における研究・技術動画マーケティングの重要性とポイントについて解説してきました。BtoB分野では動画を活用した情報発信が当たり前になりつつあり、難しい技術をわかりやすく伝える研究動画や技術動画は、顧客とのコミュニケーションにおいてますます重要な役割を担っています。
弊社では製造業1,000社のWebマーケティングを支援してきた実績があり、動画コンテンツの制作も可能です。製造業での動画制作に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
