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誰でも!読みやすい文章になる6ヶ条

【執筆者紹介】石川玲子
この記事の執筆者
石川玲子
工業系エンジニアライター
執筆テーマ:工業・製造業系の技術情報やHP、会社パンフレット、技術開発史など
【経歴】
工学部機械工学科を卒業後、自動車業界や家電業界で機構設計系のエンジニアとして勤務。第二子出産を機にフリーライターとして独立し、工業系に特化したライターとして活動中。
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元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、さまざまなメーカーのコンテンツ作りに関わっています。今回は、理系で特に文章の勉強もしたことがなかった私が、ライターとして働いていく中で気づいた、ちょっと上手に見える文章を書くコツをお伝えします。

文章を整える6ヶ条

読みやすく整った文章を書くのに必要なのは、次の6つです。

  1. 短く言い切る
  2. 語尾をそろえる
  3. 主語は文章のはじめに出す
  4. 修飾語と被修飾語はくっつける
  5. 同じ単語を連用しない
  6. 箇条書きや表も活用し、シンプルに表現する

文章には読みやすい文章と読みにくい文章があります。書いてある意味は分かる、日本語として間違っているわけでもない、それなのに読みやすい文章と読みにくい文章に分かれるポイントは、この6つが守られているかどうかです。ここでは、NG事例も混ぜながら、このポイントを順に解説していきます。

短く言い切る

NG例

文章を書く目的は、離れた場所にいる、知らない人に理解してもらうことですから、気心の知れた相手と言葉で話すような、察するコミュニケーションや、共通認識の存在を前提とした表現は通用しません。

修正例

文章を書く目的は、離れた場所にいる、知らない人に理解してもらうことです。そのため、気心の知れた相手と言葉で話すのとは違います。察するコミュニケーションや、共通認識の存在を前提とした表現は通用しません。

解説

「。」を打ち、適当な長さで文を切ったほうが、読みやすい文章になります。子供のときに習ったように「、」を一拍「。」を二拍として、書いた文を音読してみましょう。適度に息継ぎができるくらいが、ほどよい長さの文章の目安です。

語尾をそろえる

NG例

文章を書く目的は、離れた場所にいる、知らない人に理解してもらうことだ。そのため、気心の知れた相手と言葉で話すのとは違います。察するコミュニケーションや、共通認識の存在を前提とした表現は通用しない。

修正例

文章を書く目的は、離れた場所にいる、知らない人に理解してもらうことです。そのため、気心の知れた相手と言葉で話すのとは違います。察するコミュニケーションや、共通認識の存在を前提とした表現は通用しません。

解説

「~です。~ます。」で終わる文章を丁寧型といいます。一方で「~だ。~である。」で終わる文章は言い切り型といいます。一つの文章の中ではどちらかに統一しましょう。

主語は文章のはじめに出す

NG例

鋼の組織を変化させ強度を得るために行われる熱処理は、歯車の寿命に大きな影響を及ぼす。

修正例

熱処理は、鋼の組織を変化させて強度を得るために行われ、歯車の寿命に大きな影響を及ぼす。

解説

文章は前から後ろに読んでいきます。そのため、話題の主体になる主語が最初にあった方が「何についての話か」を理解した上で読み進められるのです。この例は熱処理についての話ですから「熱処理」を文頭に出します。

修飾語と被修飾語はくっつける

NG例

熱処理は鋼の組織を変化させて強度を得るために行われ、大きく歯車の寿命に影響を及ぼす。

修正例

熱処理は鋼の組織を変化させて強度を得るために行われ、歯車の寿命に大きな影響を及ぼす。

解説

修飾語とは「かざる言葉」被修飾語とは「かざられる言葉」です。この文では「大きく(おおきな)」が修飾語で「影響を及ぼす」が被修飾語になります。修飾語と被修飾語の関係が分かりやすいように、2つの言葉は近くにおきます。

同じ単語を連用しない

NG例

三分割で文章を書く方法は、小学校で文章を書くときから、企業の広告用の文章を書くときまで、幅広く使えます。

修正例

三分割で文章を書く方法は、小学校の作文から、企業の広告用の文章まで、幅広く使えます。

解説

同じ単語が並ぶのは、間違いではありませんが、読みにくさにつながります。意味が分かりにくくならない範囲で省略したり、別の単語に置き換える工夫をします。例えば「文章を書く『こと』は」のように、あまり意味のない「こと」を無意識に使ってしまうケースが多いので、注意するといいでしょう。

箇条書きや表も活用し、シンプルに表現する

NG例

電池の耐久時間をテストした結果は、製品Aでは3時間、製品Bでは2.5時間、製品Cでは3.5時間でした。

修正例

電池の耐久時間テスト結果(単位:時間)

解説

工業、製造業の世界では、数値の比較も多くなります。また構造や仕組みなど、図のが分かりやすい場合も少なくありません。文章に頼ろうとしすぎず、図や表、箇条書きなどを活用し、シンプルに表現するといいでしょう。

3つ目~5つ目に挙げた内容は、NG例であっても、日本語として間違った表現ではありません。しかし、このような細かい部分に気を付けると、より読みやすく整った文章になります。

「モノカク」を運営するテクノポートでは、2020年4月28日にオンラインで行ったセミナーを皮切りに、オンライン、オフラインを問わない「技術ライティングセミナー」も展開しております。社内メンバーでWebサイトの運営を考えている、製造業向けに情報発信スキルアップの講座を開催したいなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者
石川玲子
工業系エンジニアライター
執筆テーマ:工業・製造業系の技術情報やHP、会社パンフレット、技術開発史など
【経歴】
工学部機械工学科を卒業後、自動車業界や家電業界で機構設計系のエンジニアとして勤務。第二子出産を機にフリーライターとして独立し、工業系に特化したライターとして活動中。
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