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どうする?無断転載をされたり、してしまったとき

【執筆者紹介】石川玲子
この記事の執筆者
石川玲子
工業系エンジニアライター
執筆テーマ:工業・製造業系の技術情報やHP、会社パンフレット、技術開発史など
【経歴】
工学部機械工学科を卒業後、自動車業界や家電業界で機構設計系のエンジニアとして勤務。第二子出産を機にフリーライターとして独立し、工業系に特化したライターとして活動中。
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元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、さまざまなメーカーのコンテンツ作りに関わっています。今回はWebサイトにおけるトラブルの一つである、著作権にまつわる問題について解説します。

他社サイトの文章や写真をコピペして使うのは著作権法違反

企業がWebサイトを持つのが当たり前の時代になり、さらに近年ではオウンドメディアを構築する企業も増え、企業のWebサイトに記載される文章や写真の量も増えています。各社、よりよいコンテンツを増やし、サイトを訪れる人を増やす努力をしています。

そのような中で気になるのは、他社や他人の文章や写真を無断で使用してしまう、いわゆる「パクリ」の問題です。パクリやコピペの問題は、以前にキュレーションサイトなどの状況が指摘されました。

しかし実際には企業のサイトも無縁ではありません。個人ブログに掲載していた写真が大手旅行会社のサイトに無断利用されていたケースもあります。また、あるテーマで検索すると、複数の会社のサイトに全く同じ文章が掲載されているのを発見することもあります。

これらは全て著作権法違反です。他人の権利を侵害している状態ですから、訴訟に発展するケースもあります。実際に過去にいくつかの会社が著作権をめぐって訴えられています。また、仮に訴えられなかったとしても、知らないうちにネット上で悪い話題になっていわゆる炎上の元になったり、企業の信頼性を傷つけてしまうかもしれません。ですから、Webサイトに掲載する文章を作成する際には、作成者にも著作権などルールを学んでもらったり、あらかじめそのような知識を持っているプロに依頼しましょう。

自社のサイトの文章が無断転載されていたら、早急に手を打つ

無断転載は「してしまう」場合だけに注意しているのでは、不十分です。自社サイトの文章や写真が無断転載されている、いわゆる「パクられた」場合にも、注意を払いましょう。自社が文章などを作成した場合には、違反をしているのは相手側です。しかし第三者から見た場合、どちらがコピペを行ったのか判断がつきません。つまり本来は被害を受けている側なのに、信頼性に傷がついてしまう可能性があるのです。また過去には、自社で作成し、自社サイトに掲載していた写真が無料素材配布サイトなどに無断転載され、非常に多くの無断転載が行われたケースもあります。こうなってしまうと、もはや手がつけられません。そのため、万が一自社サイトの内容を無断転載しているものを発見した際は、早急に手を打ちましょう。

TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSでは、違反している投稿から公式へ通報するフォームがあります。通報を通じて相手側に投降を削除してもらうことが可能です。

SNSではなく、他社のサイトなどで無断転載を発見してしまった場合には、相手側に連絡し、取り下げてもらうなどの対応が必要です。状況に応じて法務部や弁護士などに間に入ってもらうといいでしょう。

無断転載をされる前に手を打てればいいのですが、Web上に公開する場合、やはり完全に保護するのは困難です。神経質になりすぎる必要はありませんが、ときには自社サイト上の文章の一部をそのまま検索にかけてみたりするといいかもしれません。

もしも無断転載をしてしまったら、すぐに取り下げて謝罪する

無断転載に至る理由はさまざまです。社内での認識が甘かったり、作成を依頼した外部組織の認識が甘かったりする場合もあります。また画像配布サイトなどから入手した画像が、実は別の場所からの無断転載だったというケースもあります。しかし、どのような場合でも自社が無断転載をしてしまっていることに気づいたら、まずは掲載しているものを取り下げましょう。著作者や権利者から連絡を受けている場合には、誠実に対応してください。たとえ故意でなかったとしても、著作権を侵害しているのは事実ですので、素早く、正しい対応を行うのが最善の策になります。

仕事柄、さまざまな企業のサイトを見に行きますが、残念ながら無断転載を発見してしまうケースもそれなりの頻度であります。トラブルに発展する前に、正しい知識をもって自社のサイトを管理するようにしましょう。

この記事の執筆者
石川玲子
工業系エンジニアライター
執筆テーマ:工業・製造業系の技術情報やHP、会社パンフレット、技術開発史など
【経歴】
工学部機械工学科を卒業後、自動車業界や家電業界で機構設計系のエンジニアとして勤務。第二子出産を機にフリーライターとして独立し、工業系に特化したライターとして活動中。
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