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製造業におけるオウンドメディアの活用法

【執筆者紹介】渡部 仁志
この記事の執筆者
渡部 仁志
会社名:テクノポート株式会社
役職:コンサルティング課、上級ウェブ解析士
執筆テーマ:ホームページの制作に役立つ記事や、Webに関する最新情報など
【経歴】
2013年入社。
ホームページの制作ディレクションなど、コンテンツ制作の仕事や、上級ウェブ解析士の資格を活かし、GA4の変更されたアクセス解析等。
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こんにちは、テクノポートの渡部です。製造業においても、オウンドメディアの運営をしている企業が増えてきました。今や技術や自社の製品の情報をオウンドメディアで発信することが、営業活動の一環として一般的になってきたのです。

しかし、オウンドメディアの制作、運営は決して容易なものではありません。本記事では、製造業におけるオウンドメディアの付き合い方についてご紹介します。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、自社のコーポレートサイトとは別にサイトを開設し、自社の製品やサービスに関する情報を発信するサイトのことです。企業の情報発信力を高め、顧客とのコミュニケーションを深めることができます。また、オウンドメディアは自社でコンテンツを制作・運営するため、外部の媒体に比べて自由度が高く、企業の個性や強みを発揮しやすいという特徴があります。さらに、SEOを意識したコンテンツ制作を行うことで、自社のウェブサイトへのアクセス数を増やすこともできます。

オウンドメディアを運営することのメリット

オウンドメディアを運営することで、様々なメリットを受けられます。

自社の情報発信力を高め、認知度の向上

自社の技術や製品についてコンテンツを発信することで、顧客や見込み客に対して自社の存在感をアピールすることができます。また、アクセスを集めることで、認知度の向上にもつながります。

SEO対策に特化できる

オウンドメディアでコンテンツを発信する際には、狙ったキーワードに特化したコンテンツを作ることができるため、コーポレートサイトとは違った細かいキーワードのSEO対策ができます。

製造業がオウンドメディアに取り組むべきメリット

オウンドメディアを運営することで受けられるメリットはたくさんあり、中小製造業こそオウンドメディアに取り組むべきだと思っています。自社技術という発信できるコンテンツがあり、そのコンテンツは製造業界に携わる人々にとって非常に有益な情報となるからです。

潜在顧客へのリーチができる

オウンドメディアのコンテンツの需要と供給をうまくマッチングさせることができれば、潜在顧客へリーチができ、のちのちの獲得につながる強力なコンテンツになります。

製品・技術の用途開発につながる

潜在顧客にアプローチすることができれば、将来の製品や技術の用途開発につながる可能性があります。また、潜在的な需要に対応することで、新たな市場を開拓することもできます。

ブランディングにつながる

自社の技術や製品情報を発信することで、業界での知名度を高められます。また、顧客に向けたコンテンツを提供することで、顧客のニーズに合わせた製品開発やサービス提供ができるようになり、これらの取り組みはブランディングにつながり、競合他社との差別化を図ることができます。

採用活動にプラスになる

社員インタビュー等によって開発秘話や仕事内容について説明するコンテンツを作成すれば、働いている実際の現場を見せることができるため、採用活動にもプラスに働きます。企業文化や働く環境もアピールでき、求職者採用活動に有利になります。さらに、自社の技術や製品を魅力的に紹介することで、新卒採用においても、熱心な志望者を惹きつけやすくなります。

オウンドメディアの制作と運営に必要なこと

では実際にオウンドメディアの制作と運営に必要なことは何かについて解説します。

目的は明確にして長い道のりであることを覚悟すること

オウンドメディアは長く運営していくことになるので、制作・運営をはじめ、最終目的を明確にしておくことが大切です。オウンドメディアを運営していく理由は様々ですが、代表的な目的には以下のようなものがあります。

  • 企業のブランディング
  • 新規リードの獲得
  • 自社技術の用途開発
  • 採用活動の支援

長く運営をしていると「あれもこれも」になってしまう可能性があるので、当初の目的を忘れずに、コツコツと長く付き合っていことを覚悟しましょう。

継続的にコンテンツを発信し続けること

オウンドメディアを運営することで、企業の情報や価値観を顧客や潜在顧客に伝えることができますが、それが一度きりで終わってしまっては意味がありません。ユーザーに必要とされる情報を継続的にコンテンツを発信することで、その信頼を獲得できます。また、定期的に新しい情報を提供することで、リピーターを獲得できます。このように、オウンドメディアを運営する上で継続的なコンテンツ発信は必要不可欠な要素です。

アクセスの解析から改善活動を続けていくこと

アクセス解析を通じて、読者の行動や興味、傾向などを把握できます。具体的には、どのコンテンツが読まれたのか、どのページで離脱したのか、どのような検索ワードで訪れたのかなどを把握し、改善点を見つけ出します。改善点をヒントにコンテンツの質を向上させることで、より多くのユーザーにリーチし、ビジネスにつながる成果を得ることができます。

オウンドメディアの事例

製造業が取り組んでいるオウンドメディアの事例をいくつか紹介します。

connect.nissha(NISSHA株式会社)

出典:connect.nissha

connect.nisshaはNISSHA株式会社が運営するオウンドメディアで、自社が提供している技術や製品のコンテンツを発信し、お客ユーザーの技術的な課題や、もっと大きく社会的課題の解決に貢献しようというサイトです。新規見込みリードの獲得や育成はもちろんのこと、技術情報の提供によって用途開発につなげる役割も持っています。

TechWeb(ローム株式会社)

TechWebはローム株式会社が運営する電子回路に関する情報を発信するオウンドメディアです。記事にはマンガ形式の記事もあり、これから電子回路を学ぶ人にとってもわかりやすい内容になっています。サイト内にはウェビナーへの誘導や、資料ダウンロードの項目があり、新規リードの獲得が目的になっています。

出典:ROHM TechWeb

CEMEDINE-Style(セメダイン株式会社)

CEMEDINE-Styleはセメダイン株式会社が運営する、ものづくり全般の情報を発信しているオウンドメディアです。セメダインは商品名にもなっているので、一般向け接着剤のメーカーというイメージがありますが、それ以外にも工業用、建築用の接着剤やその他の事業も展開しているため、そのことを周知する目的で運営されています。

出典:CEMEDINE-Style

テクノロジーイノベーションセンター特設サイト(ダイキン工業株式会社)

テクノロジーイノベーションセンター(TIC)特設サイトは、ダイキン工業株式会社が運営する自社の技術開発拠点とその活動をコンテンツ化しているオウンドメディアです。ダイキン工業といえば世界的な空調・エアコンメーカーですが、その裏にある技術的な内容をコンテンツにしており、自社の事業内容の周知をすることによって、採用活動に役立てる目的も持っています。

出典:テクノロジーイノベーションセンター特設サイト

表面処理ガイド.com(蒲田工業株式会社)

表面処理ガイド.comは、蒲田工業株式会社が運営する表面処理全般の知識を集約したオウンドメディアです。会社としてはクリーンルームの設計や製作、カプラーの設計・製作など多岐にわたりますが、その中の一つである表面処理のコンテンツだけを扱い、関連するリードの獲得を目的にしています。

出典:表面処理ガイド.com

まずは自社サイト内で1コーナー設けてみる

上記のようなオウンドメディアをいきなり立ち上げるのはハードルが高いという場合は、自社サイト内にオウンドメディアの卵となるコーナーをブログシステムなどを活用して設けてみるのも一つの手法です。いくつか取り組んでいる例を紹介します。

株式会社アコースティック・アドバンス

株式会社アコースティックアドバンスは、様々な吸音材を扱う企業です。吸音・防音・遮音のメカニズムを紹介するコラムを自社サイト内に設置することで、音に関する課題をもつ潜在顧客の集客に成功しています。

出典:株式会社アコースティック・アドバンス

荒川技研株式会社

荒川技研株式会社は樹脂の試作を専門とした試作加工会社です。自社の技術情報の他に、樹脂素材の一般的な解説や、樹脂の加工方法に関する一般的な解説、またそれらに関する課題の解決方法などをコラムでコンテンツ化。コンテンツ化の際にSEO対策を行い、広くいろんな人に情報をリーチさせることで集客を成功させています。

出典:荒川技研株式会社

まとめ

オウンドメディアというと、コンテンツを持続して発信しないといけないので、確かに大掛かりなプロジェクトにはなります。しかし、目的を持って根気よく続ければ、少しずつではありますが確実に効果は出てきます。いきなりサイトを立ち上げるのが難しい場合は、まずコーポレートサイト内でコラム等を発信するところから始めてみてはいかがでしょうか?

この記事の執筆者
渡部 仁志
会社名:テクノポート株式会社
役職:コンサルティング課、上級ウェブ解析士
執筆テーマ:ホームページの制作に役立つ記事や、Webに関する最新情報など
【経歴】
2013年入社。
ホームページの制作ディレクションなど、コンテンツ制作の仕事や、上級ウェブ解析士の資格を活かし、GA4の変更されたアクセス解析等。
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