元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などを取り上げていきます。今回は技術系ライターが行う書き分けについてです。
技術系ライターだからできること
前回の記事で技術系ライターが受けるライティング案件の例を幾つか挙げました。
前回の記事はこちら:「製造業における文書化によるアピールの大切さ」
この記事の中で「ターゲットとなる層がその製品を実際に使う技術者なのか、技術はそれほど詳しくはないが購入を決める決定権者層なのか、または全くの一般の人かなどにより、書く技術の深さや表現を変えて書く」と説明しました。製造業における技術や製品の文書化において、技術系ライターの必要性はこの部分にあります。
技術を説明するには、その技術を理解している必要があります。工業の基本的な知識、製造業における経験がなければ、その技術を理解するのに多くの時間が必要になります。技術系ライターは、もともとその技術や製品を利用していたり、知っていたりする場合が多く、速やかに理解できます。また、専門外であっても、基本的な工業的な知識を持っているので、理解に時間がかかりません。問題なく説明がおこなえます。
技術をかみ砕いて伝える
技術や製品を伝えたい相手は様々です。技術者なのか、技術はそれほど詳しくない決定権者なのか。技術的なことがわからない文系の学生かもしれません。また、子供向けのコンテンツという場合もあります。技術系ライターは、技術を理解した上で、それぞれの人に合わせて説明する深さを変えて書き分けることができます。
例えば、金属加工をおこなっている会社があったとします。技術者にアピールするために書くのならば、加工できる素材やサイズ。対応できる表面処理や加工方法の他、加工実績や価格感、納期など。具体的に技術者が欲しいと思う情報を書きます。専門用語もそのまま使い、必要な情報を過不足なく入れていきます。
これが、技術がわからない就職活動中の文系の学生だと大きく変わります。企業情報を研究しているはずなので、金属を加工して何らかの部品や装置を作っている会社ということは理解しています。しかし、どのように加工しているのか。どのぐらい精密な加工ができて、それがどれほど凄いことなのかを理解しているかとなると難しくなります。専門用語を書いても全く伝わらないので、簡単に説明する必要があります。
例えば、「プレス金型」といえば、技術者ならそれで何をするのか、どのように使われて、どうやって作られているか、説明しなくても理解できます。これが学生向きならば「つくりたい形に金属を曲げたり、打ち抜いたりする道具」のように別の言葉で書き換えます。さらに子供向きならば「金属は強い力をかけると曲がって元にもどらなくなる」という、金属の特性あたりから説明することになります。金属加工を理解した上で、金属加工について対象にあわせて深さを変えて書き分ける。製造業向けのコンテンツにおいて、これが速やかにできるのが技術系ライターと通常のライターの違う点です。
製造業の現場経験を持つライターや、工業的知識を十分に持つライターは、自社の技術や製品をアピールするために大いに役立ちます。近く、製造業向けのライティングを専門に受ける窓口ができる予定です。
書くことによって製造業を盛り上げていきますので、詳細が決まりましたら、またご連絡させて頂きます。