こんにちはテクノポートの卜部です。テクノポートで記事とホワイトペーパーの作成を担当しており、実際の業務ではホワイトペーパーの企画とディレクション、ライティング、デザインを行っております。
この記事では、ホワイトペーパーの構成を全体構成と詳細構成の二つの視点から理解することで、ホワイトペーパー制作をスムーズに進行するための考え方と作り方を解説しています。全体構成と詳細構成のテンプレートを無料で個人情報の入力なしで公開していますのでそちらも合わせてご活用ください。
- 全体構成のテンプレートは▶こちらからダウンロード◀いただけます。
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※個人情報等の入力は不要です。クリックするとファイルがダウンロードされます。
この記事の目次
「構成」はホワイトペーパーの品質を決める最も重要な要素
特にBtoB(ビジネス向けビジネス)マーケティングで使用されるホワイトペーパーは、リードを獲得するための重要なコンバージョンポイントとなります。ホワイトペーパーは、ターゲットとなるユーザーに役立つ情報を記載している点から、「お問い合わせ」や「製品・サービス資料ダウンロード」よりもコンバージョン数を増やすことができる施策です。
ホワイトペーパーをダウンロードさせるためには、ホワイトペーパーのタイトルやCTA(コールトゥーアクション:ダウンロードを促すボタンの周りの記述及びデザイン)の作り方が重要ですが、実際にダウンロードしてもらった後には、コンテンツ自体の品質が十分に高くないと、その会社に対する問い合わせにつながる可能性が低くなります。
ホワイトペーパーの品質を担保するために最も重要な設計ポイントが、構成の決めになります。
ホワイトペーパーの構成は、2つの視点から考える
私は実際の業務において、ホワイトペーパーの構成を「全体構成」と「詳細構成」の2つに分けて整理しています。
全体構成について
- ページごとに何を記載するかの概略がわかる構成
- エクセルやスプレッドシートで作成する
- 全体の流れやトピックの順序を把握できる
詳細構成について
- 各ページの中身の構成
- ワイヤーフレームの形式で作成さする
- ページ内のコンテンツの配置や構造が分かる
全体構成について ※テンプレートを公開しています
全体構成のテンプレートは▶こちらからダウンロード◀いただけます。
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全体構成のテンプレートの説明
このテンプレートでは、ホワイトペーパーの与件(ターゲットやその他前提条件)と全体構成が1シートで整理できるようになっています。上から順に説明します。
与件の整理
ターゲットの属性やターゲットが持つ課題、そもそもこのホワイトペーパーで何を伝えたいか、自社製品の強み、コンテンツの概要からフォーマットまで、ホワイトペーパーの前提条件や情報を整理します。
ホワイトペーパーコンテンツ企画
ここでは具体的にホワイトペーパーにどのような情報を載せていくかを整理していきます。まず「記載必須の要素」ではホワイトペーパーに必ず載せたい情報を明記します。その次に「ストーリーライン」では読者が不自然な印象を持たないように自然な流れで会社の製品やサービスを伝える流れを考えます。その次にページごとのタイトル、内容、参考にする資料やURLなどを記載します。
全体構成のストーリーラインの種類
全体構成のテンプレートにはストーリーラインの項目がありますが、ホワイトペーパーには定型となるストーリーラインがいくつかのパターンあり、それぞれに適した構成の組み立て方があります。最終的な構成は自由ですが、たたき台として活用していただけるよう、ストーリーラインのパターンを紹介します。
ノウハウ提供型
ノウハウ提供型における構成作成方法を紹介していきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
チェックリストタイプ
自己診断シートなどのチェックリストをホワイトペーパーにして提供します。チェックリストを通じて、最終的には自社のサービス紹介に自然につなげる構成が理想形です。
【構成】
- 表紙
- 導入:サービスに関連するテーマについて、社会情勢や経営改善の視点で必要性や重要性が増している旨などについて言及します。チェックリストを実施することでサービスの必要性が分かることを明記しましょう。
- チェックリスト:10個前後のチェック項目を用意します。マルバツ形式や点数方式で回答できるようにします。
- 結果診断:マルの合計が何個以上であれば十分、バツの合計が何個以上であれば不十分などの結果診断ページを用意します。
- 自社サービスの紹介:サービス内容を紹介します。特に、不十分判定になった企業には、サービスを導入することで経営改善ができる旨などを明記します。
- 問い合わせ先:担当者の名前や所属部署も明記しましょう。
診断結果からサービスを検討する理由づけをして、サービスの検討を促しましょう。
セミナー資料タイプ
セミナーで使用した資料をホワイトペーパーとして二次利用する形で制作します。
【構成】
- 表紙
- 導入:テーマに関する課題やセミナーの目的を記載します。
- 目次:資料の内容を目次にします。全体が一目で分かるように、章ごとに項目を記載しましょう。
- セミナーのスライド:内容が分かるように説明を加えます。
- 会社概要:どういうコンセプトで商品やサービスを提供しているのかを伝えます
- 問い合わせ先
気になるところを読みたいユーザーもいるので、飛ばし読みができるように細かく目次を記載しておきましょう。
課題解決タイプ
課題解決型の資料では、商品やサービスに興味があり、悩みを抱えているターゲットに解決策を提供します。
【構成】
- 表紙
- 目次
- 導入:資料を読むことで得られるベネフィットを明確化し、最後まで読み進めてもらえるようにします。
- 業界全体の近況:過去から現在への変化やトレンドを紹介し、課題に取り組むべき理由を明確にします。
- 課題:業界全体が抱える課題を明確化します。アンケート結果などを示すことで、資料の信頼性を向上させましょう。
- 基礎知識や課題の分析:解決するために必要な知識や課題の原因を示します。
- ノウハウ:解決策を詳しく解説します。ステップに分けたり、図や写真を入れたりすることで読むハードルを下げましょう。
- 自社商品の紹介:解決策を手軽に実施できる手段として自社商品を紹介します。
- 実績:お客様の声や改善効果を紹介することで不安を取り除きます。
- 問い合わせ先:すぐに連絡できるように必ず設置しましょう。
課題を100%解決できるくらいの密度で情報を伝えて、ダウンロードしてくれた読者から信用を得ましょう。そして、解決を手助けする手段として自社商品を紹介し、ユーザーが問い合わせしたくなるような導線にしてください。
比較表タイプ
既知の情報を整理してまとめたり、自社と似ているサービスの違いを分かりやすくまとめたりして付加価値を提供します。
【構成】
- 表紙
- 導入:何に関する情報をまとめて比較したのかを伝えます。
- 比較表:テーマに関する重要項目を並べ、〇や△・数字などを用いて一目で分かる形で一覧を作ります。
- 自社商品の紹介:競合他社との違いや強みを中心に解説します。
- 会社概要:信頼できる会社であることを伝えましょう。
- 問い合わせ
類似のサービスとの違いを見える化することで、価値のある情報を提供します。自社のコンセプトや強みに共感してもらうことで、ユーザーが相談したくなるような流れにしましょう。
入門ガイド・用語集タイプ
自社がサービスを提供しているジャンルに詳しくない方に向けて作成します。
【構成】
- 表紙
- 導入:全く知識のない方でも分かりやすくまとめていることを伝えます。自社の権威性を伝えることで活用してもらいやすくなります。
- 入門知識や業界用語集:プロが初心者になったと想定して、効率良く学べるように情報をまとめましょう。
- 会社概要:悩みや課題の相談にも親身になって対応していることを伝え、問い合わせのハードルを低くします。実績を紹介するなどして強い印象を残しましょう。
- 問い合わせ先
幅広いユーザーに自社を認知してもらい、常に比較検討の候補になるようにインパクトを残しましょう。
調査レポート型
業界に詳しい会社だからこそ得られる情報や顧客アンケートの結果をレポートにまとめていきます。
【構成】
- 表紙
- 導入:調査対象の属性情報や独自性・情報の鮮度などを伝え、読者の興味を引きます。
- 調査結果のグラフや図:一目で分かるように工夫します。前提条件も明記しておきましょう。
- 考察:自社なりの見解をまとめます。
- 会社概要:調査に関連するジャンルでの取り組み内容やサービスを紹介します。
- 問い合わせ先
最新のトレンドや自社の顧客に対する調査結果を提供し、業界に詳しい企業の一つとして認知してもらいましょう。
事例紹介型
自社のサービスを利用している顧客に取材をして資料にまとめましょう。
【構成】
- 表紙
- 導入
- 目次
- サービス導入前の状況:顧客が抱えていた悩みや状況をリアルな言葉で表現します。
- サービスの決め手:他社と迷っていたポイントや依頼を決めたきっかけを記載します。
- 導入後の変化:導入後に得られた効果を記載します。従業員の声や写真を載せて、明るい未来が得られることを伝えましょう。今後の取り組みを見せることで、「業界内で置いていかれる」という危機感をあおります。
- 商品の紹介
- 問い合わせ先
サービスの比較・検討をしている読者の期待感を高め、今すぐ行動を起こしたくなるような内容を意識しましょう。
詳細構成について ※テンプレートを公開しています
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詳細構成のテンプレートの説明
詳細構成は、ページの中にどのような情報を置くか、そのレイアウトを決めるものです。一ページの中に収める情報は、一つのブロックの場合や、ブロックが2つ3つ、またはそれ以上の多数になるケースがあります。そして、そのブロック同士の関係を矢印等を使って説明する場合もあります。大まかに分けると、次の三つのレイアウトパターンがあります。
並列記載
並列記載は、2つ3つまたは多数の情報をそれぞれのブロックで同等の重要度で説明するレイアウトです。ブロックを横並びまたは縦並びで表現します。
因果関係
原因と結果を表すレイアウトです。原因から結果に矢印などを使用して因果の流れを視覚的に分かりやすく示します。例えば課題と課題解決の関係を表す時も、ブロック間の関係を矢印等で表現します。
フロー・流れ
フローや流れを表すページでは、ブロックをフロー単位で複数個作り、それらを矢印等により時間の流れを持たせます。
詳細構成を作成したあとは?
詳細構成を作成した後は、そのワイヤーフレームに沿って執筆を進めていきます。各ブロック内の説明文にテキストを書き込んでいきます。ホワイトペーパーは短いブロックの組み合わせで構成されているため、結論を先に示し、わかりやすく簡潔な執筆が求められます。
執筆が完了したら、最後の工程としてデザインを行います。フォントの色やサイズ、インフォグラフィックや枠線のレイアウトなどを調整し、見やすいデザインに仕上げていきます。会社のブランドカラーや資料作成のフォーマットに沿ってデザインを行いましょう。
ホワイトペーパーの構成作成の難しさと対応策
最後に、ホワイトペーパーの構成を作成する際によくぶつかるハードルとそれぞれへの対策を説明します。
そもそもなんのホワイトペーパーを作れば良いかわからない。
ホワイトペーパーの内容は、ターゲットと訴求したいサービス・製品の2つの軸で大まかに決まります。ターゲットに関しては、業種、職種、関心のレベル(潜在層・顕在層)を決めましょう。サービスや製品に関しては、営業戦略に基づいて何を特に訴求したいかを決めましょう。
関心のレベルに応じて、潜在層向けには用語や概念を解説した入門的なコンテンツ、顕在層向けには業界別ソリューションやサービスの導入フローなどが適しています。
一番初めの全体構成のストーリーラインが決められない。
ストーリーラインの作成は0から1を作り出す作業です。自分の頭だけで考えるのが難しい箇所もあるため、ChatGPTなどの生成AIを活用するのがお勧めです。例えば、ストーリーラインの案を10個ほど生成させ、その良い部分を取捨選択して作成するなどの活用方法があります。
潜在顧客が興味を持つ内容がわからない。
BtoBの企業では、業界や職種によって求められる情報が大きく異なるため、ターゲットを決定したら、実際の営業担当者や想定される読者にインタビューを行い、その結果を踏まえて構成を組み立てることをお勧めします。
構成を決めたあとの執筆ができない。
BtoBの商材は専門性が高い製品やサービスが多いため、マーケティング担当者にとっては理解が難しい分野も多くあります。そのような場合、自身で執筆するのが困難になるため、執筆を外注するか、ChatGPTなどの生成AIを活用してドラフトを作成するのがよいでしょう。ただし、最終的なアウトプットは技術部門や営業部門に内容をチェックしてもらう必要があります。
ホワイトペーパーの作成の優先度は?
潜在顧客のリードを獲得するためのダウンロード資料には、サービス資料、導入事例、ホワイトペーパーなど複数の選択肢があります。ダウンロード資料の優先順位としては、まずサービス資料を十分に作り込むことが重要です。
ホワイトペーパーは主に潜在顧客向けの施策となるため、最初は顕在層向けの資料作成を優先し、その後のリソースとしてホワイトペーパーを位置づけるのが適切だと考えられます。
まとめ
本記事では、ホワイトペーパーの効果的な構成方法について詳しく解説しました。成功するホワイトペーパーは、ただ情報を羅列するだけでなく、その情報をいかに効果的に構成するかが鍵を握ります。ここで紹介した全体構成と詳細構成のテンプレートを活用することで、読者にとって価値のある内容を提供していきましょう。
これからホワイトペーパーを作成する際は、読者の立場に立って「なぜこの情報が必要なのか?」を常に考えながら、内容を整理し構成することが重要です。どんなに良い情報でも、伝え方次第でその価値は大きく変わってしまいます。皆さんがこれから作成するホワイトペーパーが、多くの読者にとって有益なものとなることを願っています。