技術ライティングコラム

【製造業】製品紹介動画の作り方のポイントと活用事例

【執筆者紹介】五月女祐亮
この記事の執筆者
五月女祐亮
会社名:テクノポート株式会社

新卒で入社した会社で日本の製造業におけるWeb活用に興味を抱き、その新たな可能性に魅了され、テクノポートに参加。専門的で高度な技術を有する日本の技術の魅力を、わかりやすく発信していくことに全力を注ぐ。

【経歴】
理学部化学科大学院卒業後、産業ガス業界へ就職。
2023年5月より、テクノポートへ入社。
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テクノポートの五月女です。動画を使用して、自社の製品・自社の技術をアピールしたいという製造業の企業が増えています。 特に製造業の場合は技術が難しかったり、製品が複雑でテキストや写真では伝わりにくかったりする場面が多くあるのではないでしょうか。

本記事では、製品紹介動画を作成するポイントや実際の使用例を紹介いたします。

製造業の動画活用について

近年、製造業においても自社製品や技術の魅力を効果的に伝える手段として「動画」の活用が注目されています。技術や製品が複雑でテキストや写真では伝えきれない部分も多く、動画ならではの視覚的アプローチが新規顧客の興味を喚起するためです。

当社が2024年に実施した「製造業の動画マーケティングに関する実態調査」では、動画を活用して新規顧客開拓に取り組む企業の73.6%が「動画活用で成果が出ている」と回答しました。実際に52.0%の企業が動画活用の成果として「Webサイトのアクセス増加」を挙げており、動画は新規顧客獲得に非常に有効なマーケティング手法であることが分かります。こうした背景から、動画活用は製造業における新規顧客開拓の重要な施策の一つとなりつつあります。 さらに、成果を出している企業では動画を年間5〜6本(2〜3か月に1本)のペースで制作し、継続的にコンテンツを発信していることも明らかになりました。

テクノポート株式会社「大手メーカーの新規外注先選びに関する実態調査」より

詳しい調査結果や成功企業の事例は当社の調査レポート(無料)で公開していますので、動画マーケティングで新規顧客開拓を目指す方はぜひ資料をダウンロードしてご覧ください。

製造業の動画活用レポートはこちらから

製品紹介動画とは

製品紹介動画は、製造業において、自社の製品を映像で紹介し顧客に理解してもらい、購買意欲を高めるために制作される動画です。これらの動画は、製品の特徴や利点、使用方法、製造プロセス、適用事例などを視覚的に説明するために用いられます。 現在よく使われている従来のパンフレットやカタログと比べて、より多くの情報を伝えられたりインターネットを通じて多くの顧客に情報を伝えられたりするメリットがあります。

製造業の製品紹介動画事例

大日本印刷株式会社(調光フィルム)

出典 大日本印刷株式会社

大日本印刷株式会社は調光フィルムの動画を展開しています。最初に、製品がどのように活用されるかを紹介して、実際の調光フィルムの動画や技術をイラストを活用して説明をしています。

製造業の場合、技術漏洩の防止の観点から使用できる動画が少ない場合があります。その場合は、質の高いフリー素材やイラストを代用・活用して動画を作成する必要があります。

株式会社山善 TFS支社(全自動計量包装機)

出典 株式会社山善TFS支社

山善 TFS支社は、全自動計量包装機の製品紹介動画を公開しています。実稼働中の工場で撮影した映像により、充填の一連の自動工程を視覚的に理解できる構成です。「省スペース設計」「袋昇降で飛散防止」「処理能力」「固形物対応」という4つの特長を提示し、解説を加えることで訴求力を向上。また、納品先工場での稼働シーンを撮影できれば導入効果をより具体的に示せるため、機械導入時に撮影許可を取得し動画を制作することを推奨します。

アルビテクノロジー株式会社(CADCAMソフトウエア)

出典 アルビノテクノロジー株式会社

アルビノテクノロジー株式会社では、hyperMILLというCADCAMソフトウェアの使用方法を提供しております。ソフトウェアを実際に使用する動画を制作することで、実際に顧客が製品を購入した際のイメージを持たせることができます。アルビノテクノロジーでは、おすすめ機能を紹介する動画を23本出しており、製品紹介サイトに埋め込むことで、文章だけでは伝わらない機能をわかりやすく伝えています。

MIRAI-LABO株式会社(リフィルバッテリー式発電機)

出典 MIRAI-LABO株式会社

MIRAI-LABO株式会社では、リフィルバッテリー式発電機の動画を提供しています。実際に営業担当者が製品を紹介することで、製品の信頼性の向上や親近感を与えられます。営業担当者が顧客と対面で説明する代わりとして利用することもできます。動画を視聴した顧客が興味を持った場合、そのまま営業担当者に問い合わせができ、効率的な営業活動をサポートします。

CKD株式会社(プラグインブロックマニホールド)

出典 CKD株式会社

CKD株式会社ではプラグインバルブの製品紹介動画を提供しています。3Dアニメーションを使用して説明することで、製品内部の構造や細かい部品の動きなどをリアルに表現でき、より製品の魅力をわかりやすく伝えています。実写では、撮影不可能な内部構造を3Dアニメーションなら自由に表現することができます。製品紹介のホームページにも一番上に動画を活用することでインパクトがあるページになっています。

田中科学機器製作株式会社(引火点測定試験機)

出典 田中科学機器製作株式会社

田中科学機器製作株式会社は、引火点測定試験機の製品紹介動画を公開し、測定原理や操作手順をわかりやすく解説しています。映像により導入後の運用イメージを具体的に把握できるほか、英語版に翻訳すれば海外展示会や LinkedIn など国際的なチャネルでも再利用でき、グローバルなリード獲得に役立ちます。

株式会社ファブエース(TIG溶接支援協働ロボットシステム)

出典 株式会社ファブエース社

株式会社ファブエースは、TIG溶接支援協働ロボットシステムの製品紹介動画を制作し、5つのメリットを使用シーンやインフォグラフィックとともに訴求しています。これにより、ホームページの説得力を大幅に向上。また、複雑形状のワークを自動溶接する様子を収めた加工事例動画も公開しており、ロボットの高い追従性と生産性を視覚的に示しています。

株式会社ミスミ(meviy マーケットプレイス)

出典 株式会社ミスミ

株式会社ミスミが提供する meviy マーケットプレイスでは、3D CADデータをアップロードするだけで加工会社への見積り取得から発注まで完結できる利便性を訴求するコンセプト動画を制作・公開しています。動画では試作工程の手間を大幅に削減できるイメージをわかりやすく提示し、Webページへの埋め込みに加えて動画広告としても幅広く展開。多様なチャネルでの活用により、サービスの認知拡大とリード獲得を強力に後押ししています。

エイハン・ジャパン株式会社(高所作業車)

出典 エイハン・ジャパン株式会社

エイハン・ジャパン株式会社は、スパイダー型高所作業車の製品紹介動画を公開しています。足場が組めない建設現場や倉庫内、森林などで実機を運搬・設置し、作業する一連の流れを映像化。搬入から操作までを具体的に示すことで、可搬性や作業効率の高さを視覚的に訴求し、導入後の運用イメージを明確に描ける内容となっています。

株式会社mujin(デパレタイザー)

出典 株式会社mujin

株式会社mujinは、袋製品のパレット荷下ろし作業を自動化するデパレタイザーロボットの紹介動画を公開しています。高精度センサーと制御ソフトが連動し、不定形ワークを正確に把握して搬送する一連の工程をデモシーンとして収録。実機を持ち込めない営業先でも動画を提示することで、導入後の運用イメージを具体的に伝えられる有効な営業ツールとなっています。

デルタ電子株式会社(協働ロボット「D-Bot」シリーズ)

デルタ電子株式会社のプロモーション動画は、ナレーションや長文テロップを最小限に抑え、ロボットの可搬重量・リーチなど主要スペックをシンプルに提示しながら動作シーンをテンポ良くつなぐスタイリッシュな構成となっています。日本の製品紹介動画に多い詳細解説型とは一線を画し、視覚的なインパクトで協働ロボットの滑らかな動きと性能を直感的に伝え、短時間で製品イメージを強く印象づけています。

HiMSEN(ディーゼルエンジン)

HiMSENのプロモーション映像は、3DCGでエンジン内部まで可視化し、テキスト解説を最小限に抑えた構成です。機能と用途紹介にフォーカスしたシンプルな演出は、展示会の大型スクリーンや商談用プレゼン資料としても高い訴求力を発揮します。

TK Elevator

出典 TKElevator

TKElevatorの映像は、イラストと3DCGを組み合わせ、蒸気式リフトから最新のロープレス技術「MULTI」へと進化するエレベーター史を紹介しています。

ABB(高速ピッキングロボット)

ABB社のピッキングロボット動画は、フル3Dで様々な製品をピックアップすることができる点を訴求しています。ナレーションをなくし、動きと簡潔なテキストだけで性能を直感的に訴求するため、営業プレゼンやコンセプト映像として最適です。アニメーションがロボットのスピードと柔軟性を強く印象づけています。

ユニバーサルロボット(協働ロボット)

ユニバーサルロボットの紹介映像は、市場シェア首位のブランド力を背景に詳細解説を省き、新モデルの動作シーンと主要スペックのみをテンポ良く提示。短尺で視覚的なインパクトを与え、視聴者をカタログや Web サイトへ自然に誘導する導線設計が特徴です。

製品紹介動画のメリット

視覚に訴えかけられるため印象に残りやすい

製品紹介動画は、情報を視覚的に伝える力が非常に強いです。これは「メラビアンの法則」とも関連しています。メラビアンの法則によれば、コミュニケーションにおけるメッセージの伝達には、視覚(55%)、聴覚(38%)、言語(7%)が影響するとされています。製品紹介動画は視覚と聴覚を組み合わせることで、視聴者に強いインパクトを与えます。製品紹介動画で製品の機能や使い方を視覚的に示すことで、ユーザーが理解しやすくなります。特に複雑な製品や新しい技術を説明する際には、文字や口頭の説明よりも直感的に伝えることができます。

メラビアンの法則

情報量が多い

製品紹介動画は、製品や企業の信頼性を高める重要なツールであり、情報量の多さという観点でも優れています。動画はテキストや静止画に比べて、圧倒的に多くの情報を短時間で伝えることができます。Forrester ResearchのJames McQuiveyによれば、「1分間の動画は180万語に相当する情報量を持つ」とされています。これにより、製品の詳細や利点、使用方法など多くの情報を一度に提供することができ、視聴者の理解を深めることが可能です。

情報量が多い

マーケティング効果の拡大

製品紹介動画は、マーケティング活動を効果的に強化する手段として活用されます。製品紹介動画は、Webサイトの商品ページやYouTubeといったSNS、展示会などさまざまな場面で使用することが可能です。動画コンテンツは視聴者の関心を引きやすく、エンゲージメント率が高いため、製品の認知度向上や販売促進に寄与します。

製品紹介動画の活用シーン

商品ページ

商品ページに動画を活用することで、画像だけでは伝わりづらい製品の魅力まで伝えることができます。また、検索エンジン最適化(SEO)にもプラスとなります。動画をWebサイトに埋め込むことでユーザーの滞在時間が伸び、直帰率の改善により検索順位向上が見込めます。

展示会

展示会では画面を使用して動画を流すことができます。集客力のアップにつながったり、担当者が不在時でも動画が製品の説明を代わりに行うため、効率的に情報を提供したりできます。特に製造業向けの大型の機械や重機といった製品の場合は、ブースに設定できない可能性もあります。無形商材の場合も同様です。製品紹介動画を使用することで、その場にない商品やサービスも紹介できます。

営業活動

営業活動においては、製品紹介動画を営業資料やプレゼンテーションに組み込むことで、提案内容を一段と魅力的に演出できます。実物を持ち運べない製品でも、動画があれば機能や使用シーンをわかりやすく示せるため、顧客は製品を具体的にイメージしやすくなります。動画を活用することで営業担当者の説明にかかる時間を短縮でき、プレゼンの説得力を高められるうえ、顧客からの評判も良くなる傾向があります。実際に映像を見せることで文章や口頭では伝わりにくい情報も直感的に共有でき、商談相手に強い印象を残すことができます。

YouTube活用

自社のYouTubeチャンネルに製品紹介動画を公開することで、新規顧客やリードの獲得につなげることができます。YouTube上の動画は他のSNSで共有したり自社サイトに埋め込んだりしやすいため、一度制作した動画コンテンツをさまざまなチャネルで再利用しやすい点もメリットです。さらに、動画のタイトルや説明文、タグに適切なキーワードを設定することで、YouTube内検索やGoogle検索で上位に表示される可能性が高まり、興味を持つ視聴者を効率的に引きつけることができます。

メールマーケティング

メールマーケティングに製品紹介動画を組み込むことで、受信者の関心を引きやすくなります。メールマガジンは、顧客へと継続的にアプローチできます。しかし、メールマガジンの質が悪いとメールの解約や企業のイメージの悪化につながりかねません。最近では、コラム記事だけではなく動画を活用してメールのクリック率を上げている企業も多くなっています。動画はテキストと比べて多くの情報量を盛り込むことができるので、メールマガジンが比較的読まれやすい休憩中などに製品の魅力をアピールできます。

製造業の製品紹介動画作り方のポイント

目的とターゲット顧客の設定

製品紹介動画の目的を明確にし、自社の製品の顧客に適した情報を提供することが重要になります。製品の価値を効果的に伝えるために、製品の特徴や利点を洗い出してから絵コンテの作成をするようにしましょう。製造業の製品紹介動画は、再生数を稼ぐことではなく、必要な人に必要な情報を届けることが最も重要です。明確な目的を設定し、製品の紹介範囲や詳細を事前に決定することが成功の鍵となります。

テロップの活用

製造業の製品紹介動画には、必ずテロップを入れるようにしましょう。製造業の顧客の場合は、基本的にBtoBの顧客が多くなります。そのため、Webページでミュートのまま動画を見たり、展示会で音声が使用できない場合など、無音声で見たりすることが予測されます。テロップや文字を多く入れることで、無音性で見ている顧客にも製品の魅力を伝えることが可能になります。

具体的な効果の提示

製品紹介動画では、製品がどのように使用されるかを具体的に示し、視覚的に説明します。実際のユーザーの体験談や導入事例を含めることで、製品の実用性や効果を具体的に紹介できるでしょう。特に製造業の場合、導入後の効果を具体的な数字で示すことが重要です。例えば、生産効率が何%向上したか、コストがどれだけ削減できたかを明確にすることで、製品の魅力をより強力に伝えられます。

まとめ

製造業においては、製品紹介動画を作成すれば、さまざまな場面で活用することが見込めます。動画の質はもちろん大切ですが、それよりも動画で何を伝えたいのか、なぜ作成するのかが重要になります。自社で動画を作成するときは、動画製作ができる人材のリソースがネックになってきます。「動画制作できる人材がいない」という理由で動画活用をやめるのではなく、まずはスマートフォンで撮影して、発信してみることから始めてはいかがでしょうか。

テクノポートは製造業1,200社のWebマーケティングを支援してきた実績があり、動画コンテンツの制作も可能です。製造業での動画制作に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

この記事の執筆者
五月女祐亮
会社名:テクノポート株式会社

新卒で入社した会社で日本の製造業におけるWeb活用に興味を抱き、その新たな可能性に魅了され、テクノポートに参加。専門的で高度な技術を有する日本の技術の魅力を、わかりやすく発信していくことに全力を注ぐ。

【経歴】
理学部化学科大学院卒業後、産業ガス業界へ就職。
2023年5月より、テクノポートへ入社。
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